技能実習制度の廃止が決定。新制度で変わることとは | 北浜グローバル経営株式会社

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技能実習制度の廃止が決定。新制度で変わることとは

技能実習制度の廃止が決定し、新制度策定に向けた話し合いが進んでいます。
今後も外国人雇用を取り巻く環境は大きく変化していくでしょう。

技能実習は国際協力の一環として始まった制度で、労働力の確保を目的としないものでしたが、実際は多くの企業の人材確保に利用されていました。
そのような状況もふまえ、新制度は「人材育成と人材確保」が目的となる見込みです。

この記事では、2023年11月30日に法務大臣へ提出された「最終報告書」の内容をもとに、新制度の解説や今後の企業に求められるであろう取り組みをお伝えします。

参考:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議 | 出入国在留管理庁

※12月20日時点で新制度の内容は確定しておりません。本コラムの内容には予測が含まれていることをあらかじめご了承ください

技能実習制度はどうして廃止されるのか

技能実習制度は、1993年から始まった「日本から開発途上地域等への技能・技術の移転」を目的とした人材育成制度です。
国際協力の一環として始まった制度でしたが、多くの企業が労働力確保のために制度を活用しているという実態がありました。中には技能実習生に劣悪な労働環境を強いる企業も存在し、近年は失踪する技能実習生が増加。
2022年には技能実習生の失踪者数が9,000人を超えたというニュースも話題になりました。

参考:【出入国在留管理庁】技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年)

技能実習制度の概要や、背景については以前のコラムでも詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。

この問題を是正するため、2022年12月から「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が開かれるようになり、国は新制度設立に向けて動き出したのです。

新制度(育成就労制度)で、何が変わるのか

2023年11月30日、過去16回にわたり開催された有識者会議の内容を踏まえ「人材確保と人材育成」を目的とした新制度の「最終報告書」がまとめられました。
新制度の名称案は「育成就労制度」で、3年間の就労を通じて外国人材を「特定技能1号」の水準になるように育成し、特定技能への円滑な移行を図る見込みです。

特定技能(1号、2号)とは?
特定技能とは労働力の確保が困難な特定の産業分野において「一定のスキルを有する人材の確保」を目的として外国人材を受け入れる制度です。対象となる分野が12に限られている点や、在留中の転籍が可能な点などが、技能実習制度と異なります。
さらに特定技能は1号と2号に分かれます。2号では熟練した技術力が求められ資格取得が難しい半面、在留中に家族の帯同も可能になるなどの違いがあります。

新制度では具体的に何が変わるのか。「最終報告書」の内容をもとに、特に重要な三つをご紹介します。

転籍が可能に

技能実習制度では原則就労先の転籍は認められていません。
新制度は、一定の条件を満たしていれば本人の意向による転籍を可能にする方針で進められています。

【外国人材のメリット】
・転籍が可能になり失踪の事態に追い込まれる可能性が減少する
・より多くの雇用機会を追求できる
・自身のキャリアパスが選択しやすくなる

日本語能力の向上に対する支援体制の強化

技能実習制度では、来日前の外国人材に日本語指導は行うものの、日本語能力の明確な要件を設けておらず、就労後にコミュニケーションに悩むケースもありました。
新制度では、就労前に一定レベルの日本語能力の取得が要件となり、優良な受け入れ機関(企業・事業者)の認定要件にも日本語教育支援の内容が入ることになります。就労開始後も日本語教育の強化・協力体制が求められるでしょう。

※日本語能力A1または日本語能力試験N5等の合格

【受け入れ機関のメリット】
・優良な受け入れ機関に認定されることで、外国人材の受け入れ条件が拡充される可能性がある

※技能実習制度の場合、優良な実習実施者については「実習生の在留期間延長」「受け入れ人数枠の拡大」などの優遇あり

【外国人材のメリット】
・就労後のコミュニケーションの不安が軽減される
・日本語習得が早まればより効率的なスキルアップが見込める

キャリア形成プログラムへの対応が追加

新制度は、業所管省庁に対し「受け入れガイドラインや育成・キャリア形成プログラムの策定などによる受け入れの適正化」を求めています。策定内容は具体的に明記されていませんが、国や行政がキャリア形成の仕組みをモデル化することで、必要な育成基準の統一を図るのが目的だと考えます。外国人材を受け入れる場合、このガイドラインやプログラムへの対応が必須になるかもしれません。

キャリア形成にを客観的に納得できるよう進めるには、全ての従業員にとって公平で明確な人事評価制度が必要になります。評価制度が整備されていない企業の場合、社内評価制度の構築を進めてみると良いかもしれません。

【受け入れ機関のメリット】
・モデルイメージがあることで、キャリア形成について1から考える負担はなくなる
・外国人材と共通したキャリア形成イメージをもつことで、仕事でのコミュニケーションが円滑になる可能性がある

【外国人材のメリット】
キャリア形成についてイメージしやすくなり就労意欲が高まる

新制度の留意点

受け入れ対象が90職種165作業から12分野に

新制度では外国人材の育成後、特定技能への移行も目指すため、対象となる受け入れ分野が特定技能制度と同じ12分野に限定される見込みです。技能実習制度は受け入れ対象が90職種165作業あるため、新制度では補えない職種が出ることになります。対象職種や分野は徐々に拡大する場合もあるものの、技能実習生を多く採用している企業は新制度施行までに、他の手段での人材確保を検討する必要があります。

※令和5年10月31日時点

【特定技能(1号)の受け入れ対象となる12分野】
介護分野、ビルクリーニング分野、素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業分野、建設分野、造船・舶用工業分野、自動車整備分野 、航空分野 、宿泊分野、農業分野、漁業分野、飲食料品製造業分野、外食業分野
参考:特定技能ガイドブック

地方における人材の流出が進む

外国人材の転籍による「地方での人手不足の深刻化」が懸念されます。
これまで地方で働いていた外国人材が、より良い待遇を求めて都市部へ流出する可能性があるためです。
新制度が施行された後、特に地方の中小企業・小規模事業者は人材が流出しないよう留意しなくてはなりません。

就労中の技能実習生はどうなる?

新制度は技能実習制度に代わるもののため、新制度開始と同時に技能実習生の新たな受け入れはできなくなります。
しかし、それまでに就労を開始した技能実習生は、実習期間満了まで就労が認められる予想です。実習期間満了後も、人材が要件を満たせば「特定技能」への移行が可能です。
特定技能の受け入れ対象は12分野のため移行できる職種は限られますが、すでに雇用している技能実習生の在留資格が特定技能になることで、より長期かつ幅広い業務で人材に活躍してもらう道も開けます。

新制度が始まるまでに「企業に求められること」

新制度がいつから始まるかについては、現時点で発表されていません。
しかし、少子高齢化が進み労働人口が減少する日本では、この先も外国人雇用は重要な人材確保の手段と言えます。

外国人材だから簡単に、または安く雇用できるということは決してありません。
採用までの流れや、育成で重視することは、国内外の人材で大きく変わらないためです。
加えて、これからはどのような企業であっても「人材に選ばれ続けるための工夫」が必要です。
雇用までのアプローチはもちろんのこと、就労開始後も人材が定着するよう、さまざまな人材が円滑に働ける職場環境を整備しましょう。

北浜グローバル経営では、雇用と育成、それぞれの専門コンサルタントが外国人材の雇用・定着から戦力化までの支援が可能です。

・既存従業員と外国人材で組織力アップを目指すチームビルディング研修
・透明性があり公平な人事評価制度の構築支援
・外国人材向けの動画業務マニュアル作成
などを通じて、外国人材の定着・就労後の社内育成までサポートいたします。

外国人材の雇用をご検討中の方は、ぜひご相談ください。

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