COLUMN
コラム

企業成長に欠かせない「人材育成」
人材育成と聞いてどのようなものを思い浮かべるでしょうか。
「知識やスキルの教育」または「研修」をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、そのような教育・研修といった施策のみでは、人材育成の効果発揮に必要十分な条件ではありません。
本記事では「人材育成」の重要性とポイントについてご紹介します。

目次
人材育成の位置づけ
まずは、企業にとっての人材育成の位置づけを筆者なりに整理すると「人材育成は未来づくり」であり「企業が存続するための戦略実現には必要不可欠なもの」と考えています。
企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化します。そんな中で自社の将来像を予測することは困難です。
一般的に決算書を見れば1年先の予想がつきます。素晴らしい商品とサービスがあれば3年先まで、明るく見通せるかもしれません。では、5年10年先はどうでしょうか。実は、企業活動を作り上げる「人材・組織」にその企業の将来の姿が表れているのです。
「人材育成」は未来づくりであり、生命線
5〜10年後、その時「企業の次世代」を担う人材をどれだけ保有しているのか、また今は居なくともどれだけ育て、輩出していけるかが企業の存続に関わってきます。つまり「未来をつくれるヒトを育てること」が、企業にとっての生命線なのです。
このことに対し、理解納得されている企業がほとんどであるにもかかわらず、
「人材育成に取り組めない・続かない」と考えられている企業も多くいます。
その背景には、短期視点で成果を判断した結果「どうすれば成果が出るのかが分からない」「すぐに取り組む価値はあるのだろうか」と、先送りにしている実情があるのではないかと考えます。
筆者から申し上げるとすれば「人材育成はすぐに成果が出るとは限らない」と腹をくくり、未来投資と捉えて、長期視点で継続的に計画的に取り組んでいくことが非常に重要です。ヒトへの投資に二の足を踏むトップは多いと思いますが、どこかの段階で人に投資することを優先的に考えないと、企業成長には限界がくると考えるべきでしょう。
今だからこそ人材育成が大切な理由
企業の差別化の源泉
昨今の技術進歩により、商品・サービスの開発スピードは加速し、ようやくの努力で世に出した革新的サービスも、いつかは必ずコモデティ化してしまいます。
そして、どの企業もサービス内容や技術・商品・価格だけで他社との差別化を図ることは、困難になりつつあります。
では、技術や商品以外で差別化要因となるものは何でしょうか。それは企業を支える「組織」と「ヒト」です。「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」「時間」「知的財産」の経営資源の中でも「ヒト」は主体的に他の経営資源を活用することができる上、生産性・能力は無限のため企業にとって最も重要な経営資源と考えられます。さらには、どれだけ技術開発が発展しても、組織や人材を模倣することは早々には不可能なのです。
意欲ある人材の離職を防ぐ
少子高齢化により労働人口減少時代に突入している今、人材採用は以前と比べてかなり困難になっていると多くの企業が実感しているのではないでしょうか。
団塊世代のリタイアも相まってどの企業も今すぐでも人材が欲しい状況、つまり求職者にとっての売り手市場になっています。
そのため、折角ご縁あって迎え入れた若手人材が今より良い会社に流れてしまうことは日常茶飯事であり、そのことに悩んでいる中小企業も多いです。
離職が起きてしまう理由は、意欲ある若手人材に成長機会・育成機会・環境を提供できていない、釣った魚に餌をやらない状態になってしまうことがほとんどです。
企業として人材育成の環境を整備し「自身が成長できると感じられる環境をつくること」が、人材定着と離職防止につながると認識しなければいけません。
そのため「従業員の個性を尊重し、個々の潜在能力を開花させること」を意識した人材育成環境の整備を目指しましょう。
人材育成へ取り組むにあたって
人材育成とは文字通り「人材を育成する=人材が育つこと」を意味します。
ただ、人材育成は教育研修の施策だけでは成立しません。取り組むべき観点とポイントについてご紹介します。
観点1 育つ力はあるか
「育つ力」とは、メンバー個人が持つ「成長したい・能力開発していきたい」という意欲の部分です。育つ力を持たない人材に、いくら企業が教育研修を実施したり教育システムを整え意気込んでも、効果は見込めません。メンバー自身が「よい仕事をしたい」「お客様のお役に立ちたい」「成長したい」という意欲を持たなければレベルアップすることは困難なのです。
そのため、個別面談を通じて時間をかけてでも、メンバーの現状と目指すべき目標設定をハッキリとさせ「自分はこの会社でどうしたいか」を明確化することが重要です。
観点2 育てる力はあるか
「育てる力」とは、企業としての社員教育体系の整備や部下指導能力です。
教育には、さまざまな手法・パターンがありますが、いずれも「目標(求める人材像)ー現状(保有能力)=不足能力」を把握することから始まります。
将来のビジョン戦略を踏まえ、それに応じて必要なスキルを分析し、現状との差分を洗い出し、逆算し計画的かつ継続的に人材育成を行うことが重要です。
なんとなく育成を始めるのではなく「5年以内にITに強い人材を5名を育てる」というように目標を設定し、取り組むようにしましょう。
また、現場での部下指導能力を高めることも必要です。
水を飲みたくない馬を水辺に連れて行っても、馬が水を飲まないように、学ぶ意欲・姿勢のない人材を学ばせることはできません。
したがって、メンバーの学ぶ姿勢や意欲・能力をどう引き出すかが大事になります。
部下の現状・レベルを観察し、少し高いハードルを設定して成長の機会を促す。
併せて、やりがいある仕事のチャンスを与えること。
個人の特性を把握して長所を発見し、悪い点だけでなく良い点とともにフィードバックをする。さらに教える側の質をそろえるため、ルールや基準を整備し、教育の質の格差を是正する。「上司自身が成長している姿」を部下に見せることも重要になります。

観点3 育む力はあるか
「育む力」とは、社風や人事制度です。
人材の成長スピードが早く、組織が活性化している企業もあれば、社員が定着せず退職率が高い企業もあります。「その差は何か?」を考えてみると、さまざまな要因はあるものの、大きな差異は「人材が育つ基本的な土壌(社風・人事制度)」にあります。
良い土壌では、どんな苗でもある程度育ちます。
しかし、悪い土壌では良い苗でもなかなか育ちません。
その対策として、良い肥料を与えると一時は改善するものの、効果は一過性にすぎず、その後また苗は成長できずにしおれていき、最終的に枯れてしまうでしょう。
この場合の「苗=人材」「肥料=教育研修」「苗が枯れてしまうこと=退職」とイメージしていただければ、土壌の整備がいかに重要かご理解いただけると思います。
人材が育つ土壌をつくるため、必要な取り組みポイントは以下のとおりです。
①経営理念・ビジョンを社員へ共有
②方針を明示し、組織を挙げて推進するマネジメントの仕組み
③社員の変化に気付き、組織的にフォロー・サポートできる体制
④貢献度の高い社員への評価と分配の仕組みを構築
これらを押さえつつ、企業全体で次世代を担う人材を育てようという社風を作りあげることが肝要です。ご紹介した観点で企業の現状を再点検し「人材育成は一日にして成らず」という心得のもと、是非、未来づくりに取り組んでいただけますと幸いです。
まとめ
今回のコラムでは人材育成の重要性についてご紹介しました。
人材育成は企業成長の上で非常に重要です。
しかし、人材育成は「研修を実施すれば、すぐ効果が出る万能薬」というわけではありません。人材側・教育側が、企業目標に対する共通意識を持ち、中長期的に取り組む必要があります。
「社内に教育できる人材がいない」
「似た研修を繰り返し、マンネリ化している」
「人・組織に関する課題を相談したい、具体的なアドバイスが欲しい」
そのような企業様は是非、当社にご相談ください。
北浜グローバル経営では「人事戦略の支援」と「社員育成の支援」を行い、企業成長に向けて、伴走支援いたします。