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コラム

ECサイトについて【前編:種類と特徴】
コロナ禍で拡大したデジタル活用(総務省調査)では、インターネットショッピングを利用する世帯は2020年3月以降に急速に増加しており、中でも企業が自ら開設したウェブサイト(自社ECサイト)を通じた販売が増加した、と述べられました。
コラムをお読みの皆様も、一度はネットショッピングを利用したことがあると思います。ネットショッピング利用の増加傾向は今後も続き、ECサイトでの商品販売は益々需要を高めていくと推測できます。そこで今回は、コラムを前後編の2回に分け前編では「ECサイトの種類と特徴」、後編では「ECサイトの運用ポイント」についてご紹介いたします。

目次
そもそも「ECサイト」とは
ECサイトとは電子商取引が行えるWebサイトを指します。電子商取引は英語でElectronic Commerce(エレクトニック・コマース)といい、その頭文字を取った通称が「EC」です。「ECサイト」は「ネットショップ」とも呼ばれますが、意味は同じで、ECサイトを使用する人の立場によって呼称の違いが生まれます。
例えばWebサイトの制作者や開発者は、一般的なWebサイトとEC機能をもつサイトを区別するために「ECサイト」と呼びます。そして、買い物を目的としてECサイトを利用するユーザーは、実店舗とインターネット上の店舗を区別するために、「ネットショップ」と呼ぶことがあります。
ECサイトの種類
ECサイトには大きく分けて「自社ECサイト」と「モール型ECサイト」の二つがあります。それぞれの違いとメリットとデメリットを見て最適なネットショップの運営を始めましょう。

自社ECサイト
オリジナルのドメインを取得して、企業が直接運営するECサイトを「自社ECサイト」と呼びます。自社ECサイトの構築方法はさまざまあります。今回は代表的な方法を四つ、構築費用が安価な順にご紹介します。
●ASP
Application Service Provider(アプリケーション・サービス・プロバイダー)の略語で、簡単かつ低予算でECサイトを構築する方法です。システム管理はプロバイダーが行います。(例:BASE・STORES・Makeshop・FutureShop)
●オープンソース
インターネット上に一般公開されている無料ソフトウェアをダウンロードしてECサイトを構築する方法です。自社で保守管理や更新作業を行う必要があるためWeb制作の知識・スキルが求められます。(例:EC-CUBE)
●パッケージ
ECサイトの運営に必要なシステム・機能を備えた有料のショッピングカートシステムを指します。オープンソースとの違いは無料ソフトウェアをダウンロードするか、システムを購入するかです。システムを購入しているため、サポート環境は整っています。(例:ecbeing・コマース21)
●フルスクラッチ
既存のEC構築サービスを使わずに、ゼロから自社のECサイトを構築する方法です。デザインから設計まで一切の制限なく自社に必要な要件に合ったECサイトを作成できます。
ECサイトは運用の予算やキーポイントを考慮した上で、企業のビジネス規模に応じて構築する必要があります。それぞれの構築方法の傾向をポジションマップで表示すると、以下のようになります。

モール型ECサイト
複数のブランドやショップが一つの大きなサイト(ECモール)に集まって出店・出品するオンラインプラットフォームです。楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNをイメージすると分かりやすいと思います。
ECモールは大きく分けて3種類のモール形式があります。
●テナント型モール
ECモール内にショップを出店する形式(例:楽天市場・Yahoo!ショッピング)
●マーケットプレイス型モール
ECモールに商品を出品する形式(例:Amazon・Qoo10)
●統合管理型モール
自社内でECモールを構築して複数ショップを一元管理する形式(例:さとふる)
どの形式を選ぶかによって、得られるメリットやランニングコストも異なります。また出店・出品するECモールによって想定される購入ターゲット層が異なるので、自社ブランドに合うプラットフォームを選定することが重要です。
実際にユーザーとしてECモールを利用して、販売戦略に合致するか確認しましょう。
メリットとデメリット
自社ECサイトの場合

●メリット
モール型ECサイトと比べると設計やデザインの自由度が高いため、企業・ブランドのテーマや、商品のオリジナリティを伝えやすくなります。そして、直接販売による高利益の確保が見込める上、自社ECサイトであれば顧客情報を分析しながらの販促活動が行いやすくなります。
●デメリット
自社ECサイト運用で考えられる1番のデメリットは「集客施策が必要なこと」です。
ECサイトの場合、モールの知名度を利用できないため、自ら集客しなくてはなりません。例えば、Googleの検索結果ページに自社のページを表示させるためのSEO対策やリスティング広告といった集客施策を講じる必要があります。またプロモーション告知や、ブランディングのためにブログやSNSマーケティングを活用しユーザーとのコミュニケーションを図ることも、リピーターを増やす施策として重要な戦略の一つです。
モール型ECサイトの場合

●メリット
モール型ECサイトの大きな強みは何と言っても「集客力の高さ」です。
Web広告やSNSマーケティング、SEO対策などの施策を行わなくても、ECモールの利用ユーザーが自社ブランドのページを訪問してくれます。また「出店の手軽さ」も強みの一つです。商品情報ページ作成や決済方法の選択など、既に準備されているプラットフォームに沿って入力するスタイルが多いので、専門的なWeb制作のスキルが不要です。
●デメリット
モール型ECサイトには三つのデメリットがあります。
1.ランニングコストがかかる
出店料やシステム利用料、配送代行手数料など、さまざまなランニングコストが発生します。ECモールの規模が大きいほどランニングコストが高くなる傾向にあるので、長い目で見ると、自社ECサイトのほうがコストを抑えて運営できる可能性があります。
2.ブランディングが難しい
基本的にECモールのルールに準拠して商品出品やショップページの設計を行わなくてはいけないため、自社ブランドのオリジナリティやブランドイメージの定着に時間を要します。
3.商品の価格競争が発生しやすい
ECモール内で同一商品や類似商品を複数出品されていることも多いので、【値下げ合戦】に陥りやすいのも欠点の一つです。利益確保できる価格で、他ショップよりも選ばれるような商品価値やショップページを打ち出していくことが求められます。
最後に
ここまで、コラム前編として「自社ECサイト」と「モール型ECサイト」の二つの特徴とメリット・デメリットについてお伝えしました。次回(後編)のコラムでは「ECサイト運用のポイント」についてお伝えします。

自社ECサイトとモール型ECサイトを同時運営すれば、ランニングコストこそ増えるものの、その分集客力を大きく強化できます。ECサイトユーザーの中には「楽天市場やAmazonなどの使い慣れたECモールでしか購入しない」というユーザーもいれば、「自社ECサイトのほうが安心できる」というユーザーもいます。そのため安定したユーザーの確保を狙って、二つのECサイトを同時に運営する企業も少なくありません。
また、どちらかのECサイトにトラブルが発生した時のリスクヘッジになることから、相互補完の役割も果たします。
北浜グローバル経営では、専門コンサルタントによるデジタルマーケティングの支援を行っています。
「単なるECサイトの制作提案」だけで終わらず、企業が目指す未来(ビジョン)や、購入を想定しているターゲット層や商材の特徴を入念に伺い、販売と集客の「戦略立案と実行」を支援しております。
初めてのECサイト運営を検討されている企業様や、ECサイトを運営しているものの今一つ成果を感じられていない企業様は、是非、当社へご相談ください。