中小企業のM&A、一番の不安の種は | 北浜グローバル経営株式会社

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中小企業のM&A、一番の不安の種は

近年、中小企業のM&Aを取り巻く環境は大きく変化し、事業承継型M&Aを中心に、その件数は過去最多を更新するペースで増加している状況です。
しかしながら、「M&Aを検討する必要を感じるものの、なかなか踏み切る気持ちになれない」という経営者もけっして少なくありません。今回は昨今のM&A事情と、M&Aに対して経営者の多くが抱く不安の原因について、追求してみましょう。

約60万者がM&Aの対象となり得る大廃業時代

潜在的な譲渡対象事業者数

経済産業省が公開している資料によると、潜在的にM&Aの対象となり得る事業者は60万者にも及ぶといわれています。その理由の一つとして挙げられるのが、少子高齢化、働き手不足などによる「後継者不在問題」です※1
中小企業経営者の高齢化が進む昨今、事業そのものは堅調であったとしても、後に経営を任せられる人材がおらず、泣く泣く会社をたたんでしまうという事例も後を絶ちません。

※1.60万者のうち成長志向型8.4万者、事業承継型30.6万者、経営資源引継ぎ型18.7万者 【参照:経済産業省HP(令和4年12月時点)】

中小企業のM&Aを取り巻く支援体制

事業承継がなされず、廃業に至る場合、関係する多くの人に多大な影響を与えることになります。例えば、従業員の雇用喪失をはじめ、これまでお世話になった企業との取引にも影響するでしょう。さらには長い間培ってきた技術も失われてしまいます。
経営資源の散逸を防ぐためにも、国としては「中小M&Aガイドライン」の策定や、M&A支援機関の登録制度化、「事業承継・引継ぎ補助金」、「経営資源集約化税制」の創設など、中小企業のM&Aを強く支援しています。

民間企業においては、需要の増加に伴いM&A仲介事業を手掛ける企業数が急激に増加し、サービス内容や報酬体系も多様化しています。近年は規模が小さい企業や個人にも利用しやすい、売り手と買い手のダイレクトなマッチングをはかるプラットフォームもその存在感を増し、多数のM&Aの成約を実現しております。

それでもM&Aを思いとどまる理由

会社を手放すことは「悪いこと」なのか

後継者問題を打開するための具体的な解決策が無いにもかかわらず、M&Aに踏み切ることができない経営者も多いのではないでしょうか。

そのような経営者の心理としては
・従業員への後ろめたい気持ち
・会社の方針がかわり、従業員が離れていってしまう心配
・会社、事業を手放す事への寂しさ
といった例が挙げられます。

現実的な課題としては
・事業承継の方針、計画を策定していない
・自社を譲り受けてくれる買い手が見つからないだろうと諦めている
・タイミングをはかりかねている(業績が改善してからが良いのではないかと考えている、もう少し年齢を重ねてからでも間に合うと考えている、など)
といった例をよく耳にします。

特に「経営者の心理」は会社や従業員を大切にする気持ちの裏返しであり、当然の不安だといえます。「現実的な課題」には「そもそもどこから手を付けて良いのかわからない」といったお声も含まれます。

不安を解消して理想的な事業継承の形を模索するには、中小企業のM&Aに精通したアドバイザーなどとじっくり話し合い、認識をすり合わせておくことが大切です。準備を始めるタイミングや具体的な手順がわからないという場合は、やはりその道の専門家にアドバイスを仰ぐべきだといえます。

変化するM&Aへの認識

今から20年ほど前、中小企業のM&Aはそれほど一般的ではありませんでした。その頃はまだ「会社を他人に売り渡す」という行為に対して、否定的な風潮があったように思います。

「M&Aは大企業が行うもの」というイメージに加えて、「規模の大きな会社が、対象企業の意向に反して買収を強行する」といったごくわずかな例が取り沙汰され、「敵対的買収」等のネガティブな印象を与えたこともありました。

しかし実際のところ、中小企業のM&Aにおいては、両社が納得して初めて契約が成立する、友好的なものしかあり得ません。

支援機関等が充実してきた近年、M&Aは多くの人にとって「身近なもの」になりました。メディアを通して成功事例が知られるようになったこともあり、「M&Aは会社がこれまでつくり上げてきた事業の価値を、第三者(買い手)が適正に評価することで成し得る取引」であり、「けっして後ろめたいものではない」という、正しい認識が広まりつつあります。

さらには経営者の高齢化が進む昨今、自社の行く末を不安に思う従業員にとっても、M&Aによる企業の存続や、グループとしての基盤が強固になることは、一つの希望にすらなり得るのです。

一番の懸念点は、譲渡後の雇用継続

従業員の雇用継続。買い手側の考えは?

M&Aをきっかけに、会社の方針が変わったり、リストラが行われたり、従業員が離職してしまうのではないか?と不安に感じる方も多いと思います。ただ実際は、買い手側としては「従業員が一人も欠けることなく継続して勤務してほしい」と考えているケースがほとんどであり、中小企業のM&Aでは8割以上のケースで、買収後の全従業員の雇用が維持されています※2

これは、買い手側にとって、M&Aの狙いが「新事業への参入」や「事業エリア拡大」であり、新たに人を雇って組織を作るよりも、すでに完成している組織や仕組みを譲り受けるほうが効率的だという考え方が根底にあるからです。

どの企業も、人手不足・採用難が叫ばれる昨今において、既に事業に関するノウハウが備わっている人材をなるべく手放したくはないはずです。したがって、M&A後に大きく方針を転換して混乱を招くような事は避け、給与や賞与の向上、福利厚生の充実等を行い、なるべく離職を防ごうと画策するケースが多いといえます。

※2 参照:中小企業庁HP 財務サポート「事業承継」(令和4年12月時点)

M&Aで会社を譲渡した後、経営者はどうなる?

後継者不在型のM&Aの場合、経営者が既に高齢であり、会社を譲り渡した後は引退を希望するケースが多いです。

ただ、譲渡したその瞬間から、完全に前経営者が会社との関わりを絶つというわけではありません。多くの場合、しばらくの間は顧問、相談役などといった立場で会社に留まることになります。
これは、取引先との関係性をつなぎとめたり、これまで培ってきたノウハウの引き継ぎを行ったり、会社のさらなる発展を後押しするためです。

特に中小企業では、経営者が現役プレイヤーとして現場に出ている場合も多く、企業のトップでありながらエースで4番、売り上げの多くを一人で担っているということも珍しくはありません。たとえ前経営者本人が「リタイアしたい」と思っていても、買い手からすると、そのような人物がいきなり組織から抜けてしまうのは大きな痛手です。

一方で、比較的若い経営者の場合には、中長期的に会社に残り、買い手のリソースを活用しながら自社を成長させたいという場合もあり、M&A後も役員として会社に貢献し続けるケースもあります。

M&Aは、歴史をつないでいく手段の一つ

誰よりも会社のことを考え、大切に思っている経営者だからこそ、会社を手放すことへの不安や寂しさもひとしおのはず。

従来、M&Aには「会社を売却するという無責任な行為」というイメージがありました。
しかし近年M&Aで事業継承を実施した経営者の多くは①企業の存続 ②雇用・取引関係の維持 ③自社の発展、等を叶えるための手段としてM&Aを実施されています。

これはつまり「無責任」とは真逆の「会社を存続・発展させることが、従業員や取引先への責任を果たすことだ」という考えがベースにあるからです。

いかがでしたか?将来的にM&Aをお考えで、話だけでも聞いてみたいという方は、まずは北浜グローバル経営にご相談ください。専門コンサルタントがどんな些細な疑問にもお答えいたします。
会社に関わるすべての人を尊重しながら、歴史を紡いでいくためのM&Aを実現させましょう。

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