今こそ言語化が重要!業務において不用な日本人の“察する文化” | 北浜グローバル経営株式会社

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今こそ言語化が重要!業務において不用な日本人の“察する文化”

日常でコミュニケーションが難しいと感じたとしても、多くの人は相手の伝えたいことを一生懸命理解し、返そうと努力します。

しかし、お互いに「この人にはなかなか話が通じないなあ」「結局、何が言いたいんだろう?」という風に、少し疲れてしまうことはありませんか?それは日本人の“ある特徴”が原因かもしれません。
今回のコラムでは、さまざまな場面で課題となるコミュニケーションについてお話しします。

世界で一番「察する日本人」

皆さまは、ハイコンテクストとローコンテクストという言葉を耳にしたことはありますか?
コンテクスト(context)という単語は、文脈・脈絡・状況・前後関係などと訳されます。

ハイコンテクスト文化は“高文脈”であり「相手のしぐさや声色など、非言語に含まれる意図を察し合う文化」を指します。以心伝心、あうんの呼吸、空気を読むなどの言葉で表現すると、日本らしい文化に感じる方も多いかもしれません。実際、日本は世界で一番「察する文化」を持つとされています。

一方、ローコンテクスト文化は“低文脈”であり「言語表現を重要視し、明確に意思を伝え合う文化」を指します。抽象的な言葉や曖昧な表現よりも、伝わりやすいシンプルな言葉で明確な意思表示をする傾向にあります。

ハイコンテクストの特徴と弱点

ハイコンテクスト文化では、共通認識を持つ人同士が文脈やしぐさから相手の考えを察し合う前提でコミュニケーションが進みます。これは、無意識のうちに「察する能力」を相手に求めており、コミュニケーションの精度が相手の能力に大きく影響されていると言えます。

実際に共通認識があれば効率的なコミュニケーションをとれますが、共通認識がない場合、相手の受け取り方で表現の意味合いが変わるため、コミュニケーションのすれ違いが生じるリスクが高くなってしまうのです。

これがハイコンテクストの弱点であり、コミュニケーションをとる中で「話が伝わらない」と、お互いを疲れさせてしまう原因の一つです。

近年、多様性やダイバーシティという言葉をさまざまな場面で耳にするようになりました。
同じコミュニティにいる人同士でも、育ってきた時代や環境によって、ライフスタイルや考え方は異なります。それは、コミュニケーションにおける聞き手のイメージも多様化していると置き換えられるのではないでしょうか。

さらに、新型コロナウイルス感染症の流行により予期せずリモートワーク・IT化が加速。対面のコミュニケーションに制限がかかったこともあり、チャットなどの文章だけでコミュニケーションを完結させることが急増しました。

非言語情報から考えを察するハイコンテクスト文化においては、会えないという非対面のコミュニケーションも、察する難易度を上げているはずです。

さまざまな理由で“察する”ことが困難になっている今だからこそ、一人一人が言葉で明確に意思表示をする、ローコンテクストなコミュニケーションに挑戦する必要があると考えます。

コミュニケーションの“すれ違い”

コミュニケーション課題の多くは「相手に伝わっているはず」「自分は理解できているはず」という思い込みにより起きています。ハイコンテクスト文化のコミュニケーションで起こり得る、すれ違い例をご紹介します。

●「いい塩梅で」に、困惑する技能実習生(外国人人材)
塩梅(あんばい)という言葉は、日本語に長く触れてきた人であれば、まだ理解できるかもしれません。しかし来日間もない技能実習生にとって、馴染みがないのも無理はありません。

実際に筆者が対応した技能実習生は、東南アジアの国出身で、日本と同様にハイコンテクスト文化の中で育ってきました。言葉の真意を自分で察するべきと考え、どういう意味かを結果「塩梅=いい具合」と変換され……「いい具合ってどこまで?」と、さらに頭を抱えてしまったのだとか。

●文章ではわかりづらい「短文の返信」
チャットなどの文章、特に短文によるすれ違いもたびたび起こります。
あるプランの進行方法で悩んでいた一人の社員が、上司へ相談のメッセージを送りました。
「当初はプランAで進行を予定していましたが、社内からプランBの提案もあがってきました。今回はプランBに切り替え、進行するのはいかがでしょうか?」

このメッセージに対する返信は「大丈夫です」の一言。
上司は「Bに切り替えて大丈夫」という意味で送っていたとしても、社員からすると「Bに切り替えなくて大丈夫」とも受け取れます。

ローコンテクストで、すれ違いを防ぐ

ハイコンテクストなコミュニケーションでは「聞き手の能力」が重視されます。
そのため、すれ違いの例でもあったように聞き手が言葉以上の意味を察そうとしてしまい、聞き慣れない言葉や短すぎる文章に対して本来と違う意味を持たせてしまう可能性もあるのです。

一方で、ローコンテクストなコミュニケーションは「伝える側の能力」を重視します。
誰もが理解できる言葉で、論理的かつ明確に情報を伝える力が必要ですが、最大のメリットとしてコミュニケーションのすれ違いを防ぐことが可能です。

例えば前述したコミュニケーションのすれ違いも
「いい塩梅」ではなく「ここまでやってみて」と具体的な例を示したり、
「大丈夫」ではなく「Bに切り替えましょう」という言葉に置き換えるだけで、すれ違いが防げます。

このような視点で日々のやり取りを振り返ってみると、よりシンプルで明確な言葉に置き換えられる表現がたくさんあるはずです。

まとめ

働く環境や時代の変化に応じて、コミュニケーションの在り方にも変化が求められています。

「同じ会社だから、同じ職種だから、相手も共通の認識だろう」という意識を変え、誰にとっても分かりやすい言葉で表現しなければ伝わらないという前提で、コミュニケーションを図ってみましょう。
それだけでぐっと相手との距離が近づき、今後のやり取りが円滑になるはずです。

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