COLUMN
コラム

技能実習生の受け入れを考える企業が知っておきたい「監理団体の選び方」
テレビや新聞でよく目にする「外国人労働者」や「技能実習制度」の文字。
製造業や建設業、その他多くの業種において労働力不足が大きな問題となっている中、 解決する手段の一つとして注目されており、外国人材の受け入れを考える企業も増えてきました。
技能実習制度を利用する企業に何より重視していただきたいのは、どの監理団体に依頼するかです。
技能実習生の受け入れ方法には、企業が海外現地の法人等から実習生を受け入れる「企業単独型」、企業が監理団体を介して人材の受け入れを行う「団体管理型」の2種類があり、全体の約99%が「団体管理型」を採用しています。
監理団体なしでも受け入れが可能なケースもありますが、 煩雑な手続きや受け入れ準備のリソース、実習生に対するフォロー体制を加味しても、初めての方はぜひ監理団体との協力をご検討いただきたいです。
このコラムでは
・監理団体とは
・監理団体を利用するメリット
・監理団体の選びのポイント
をお伝えします。
■併せて読みたい
「技能実習制度が廃止?新制度開始前に知るべき実情と課題」
目次
監理団体とは

技能実習生を受け入れたい企業からの依頼にもとづき、海外での技能実習生募集・受け入れに関する各種手続き・受け入れ事業者への指導や監査を行う非営利団体を指します。
監理団体の主な役割は以下の通りです。
■海外現地の送り出し機関との契約、および求人・採用活動への同行や取り次ぎ
■技能実習計画の作成指導
■入国後の実習生に対する規定講習の実施
■訪問(1カ月に1回以上、実習生との面談による状況確認、生活指導)
■監査(3カ月に1回以上、労働環境の確認、実習生・現場責任者へヒアリング)
監理団体を利用するメリット

メリット
・技能実習生を受け入れるまでの申請など、煩雑な業務のサポートを受けられるため企業側の負担が軽減される
・実習生の悩みごとや職場環境の改善点など、当事者間では気づきづらい課題への改善提案を受けられる
デメリットがあるとすれば、監理団体の役割を果たすための必要経費として「毎月の監理費が発生する」ことです。
実習生と企業をサポートするための経費で、費用は1〜8万円と監理団体によって異なります。
高さ・安さだけでサービスの質を判断するのは難しく、後々企業側が思わぬ苦労をしないようサービスの質を見極めることが重要です。
サービスの質が良くないと、以下のようなトラブルが発生するケースもあります。
■サポート不備による就労開始の遅れ
レスポンスの遅さなどからサポート不備が重なると、スムーズに申請できず入国・就労開始時期が遅れることがあります。企業の業務に影響が出るだけでなく、実習生のために確保した寮に空家賃が発生するなど、本来であれば不要なコストが発生します。
■指導不足による規約違反
技能実習生は受入れ企業以外での就労を認められていません。しかし監理団体からの指導が不十分だと「実習生が副業をしていた」「企業が下請け会社でアルバイトをさせていた」などの事態を生むことがあります。規約違反が発生すると実習生は強制送還され、副業先となった企業にも不法就労助長罪などの罰則が科せられます。
■トラブル放置による帰国・失踪
信頼関係の構築や監査業務が不十分な監理団体には、実習生も悩みを打ち明けられず、さまざまなトラブルが放置されます。
その結果、実習生の妊娠・病気・いじめに気づけず就労不能や急な帰国を招く、労働環境の過酷さや賃金未払い等の問題が報告されず、実習生の失踪などに発展することがあります。
監理団体選びのポイント

■就労開始後のサポートが充実しているか
企業と実習生へのサポートは、入国して実習が開始すれば終わりではありません。
申請作業だけでなく、実習生の就労開始から帰国までの支援があるかなど、サポートが充実した団体かどうかを確認しましょう。
■母国語対応可能な職員がいるか
実習生がトラブルに巻き込まれた時や悩みを抱えている時、母国語対応可能なスタッフが駆け付けられる体制は、企業にとっても実習生にとっても安心材料になります。アルバイトや業務委託ではなく、母国語対応が可能なスタッフが駐在している団体を選びましょう。
■レスポンスの速さと安心感があるか
基本的なことですが連絡対応が著しく遅い団体はお勧めできません。稼働日なのに連絡がつかない、質問内容に明確に答えてくれないなど不安が残る場合は、実習生へのサポートにも影響が出る可能性が高いと言えます。
■面接設定の手順が適切か
監理団体が面接を設定するには
①企業の求める人材を理解
②現地で募集を開始
③候補を絞り込んで面接設定
という流れがあり、1カ月程を要することがほとんどです。
この期間が“あまりに短い”と感じる場合は「仲介人と連携し候補者を大量に募っている」「他社面接で落ちた人材を斡旋している」といった可能性があります。前者は送り出し機関が実習生に多額の費用を請求する原因、後者は企業と人材のミスマッチを生む原因となる場合があるため、どのような手順で面接が設定されているか確認が必要です。
■現地での教育が十分か
実習生の現地での教育期間は【6カ月以上または320時間以上】と義務付けられており※、多くの送り出し機関が6カ月以上をかけて日本文化の教育や講習を行います。
6カ月以下で「320時間」を達成することも可能ですが、短期間の教育では知識が定着しづらく、来日後に実習生がコミュニケーションに課題を感じる原因にもつながります。
A.実習生の就労開始後でも監理団体の変更は可能です。
変更には、
①新たな監理団体を探す
②現在の監理団体、送り出し機関、技能実習生に変更の合意を得る
③必要な書類を準備する
④送り出し機関と新しい監理団体で契約を結ぶ
という手順が必要となり、1カ月半〜3カ月の期間を要します。
実際に監理団体と関わってから不安が生じた場合は、不安点を伝えることで対応が改善される場合もありますが、改善されない場合は変更も検討しましょう。
まとめ

技能実習生など海外からの人材の受け入れは、膨大な書類の準備や申請があり難しいと考えられがちです。
しかし、サポート体制がしっかり整っている監理団体と協力すれば企業の負担は軽減されます。
当社は監理団体許認可を得ている「北浜ネットワーク協同組合」と連携し、受け入れ準備から就労開始後のさまざまなお困りごとまでサポートも行っています。
初めての外国人雇用に不安がある、 具体的な支援状況を聞いてみたいという方は、お気軽にお問い合わせください。
数年にわたり続く外国人雇用をより良いものにするため、多くの人材受け入れに携わってきた経験豊富なコンサルタントが伴走支援いたします。
≫外国人雇用サービスの詳細を見る